赤壁

島前の南に位置する知夫里島の西岸に続く断崖絶壁の一部に鮮やかな赤い岩からなる崖があります。文字通りの赤壁と言われるこの崖の色は、この場所に火口があったことと、その噴火の性質が関係しています。
赤色は酸化鉄の色です。ガスと鉄分を多く含む玄武岩のマグマが、火口から高温で溶けたままの溶岩を飛び散らせるようにして噴出したために、その溶岩のしぶきが空気中で酸化(高温酸化)して冷え固まり、火口の周囲に降り積もったことで、このような赤色の火山ができました。酸化などの化学反応は温度が高いほど反応速度が早く、しぶきとして飛び散るためにムラなく全体が酸化するため、空気中を飛ぶ短い時間だけでも全体が酸化したのです。
何度もくり返した噴火は崖の断面に見えるしま模様をつくり、また、しぶきとして飛び散らず火口から流れ出た溶岩は、しぶきのように酸化しなかったため、同じ成分の溶岩でありながら黒色をしています。さらに、この一連の火山活動が終わった後に別の成分の溶岩が割り込み、垂直に走るクリーム色の岩の柱になりました。
このような経緯からさまざまな色と模様の刻まれた赤壁は隠岐の中でも特に美しい海岸のひとつとして、知夫里島のシンボルのひとつとなっています。

