今も伝える縄文信仰
隠岐の風景の中には、宗教のルーツを感じさせるような場所もあります。
日本固有の宗教である神道のルーツとされる自然信仰(山岳信仰や巨木信仰)の形を現在に伝えるような祭りや神社があります。島後布施地区の大山神社には社殿がなく、鳥居をくぐるとご神体である樹齢400年の杉の大木があり、一山全体が神社として祀られています。
その杉の巨木にカズラ(サルナシのつた)を七回り半巻き付ける神事は、恵みを与えてくれる山や自然に対しての感謝の証であり、これから始まる山仕事での安全祈願と子孫繁栄を願うためであるとも考えられています。


その近くにある、隠岐の三大杉としても知られている乳房杉も巨木信仰の対象であり、社殿のない岩倉神社のご神体となっています。
また、銚子地区にある御客神社も大山神社や岩倉神社と同様に社殿がなく、巨岩に注連縄を張りその前に鳥居を建てています。


昔の人は、今の私たちにとってのジオサイト(ジオパークの見どころ)と同じように、驚くような自然の景観を特別に大事にしていたということがわかります。