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このページの位置: ホーム 大地の成り立ち 大陸の時代 隠岐片麻岩

隠岐片麻岩

隠岐で一番古い岩石は、約2億5000万年前にできた隠岐片麻岩(隠岐変成岩類)という岩石です。この岩石は、日本列島が今のような姿ではなく超大陸の一部だったころに誕生しましたが、その後単に古いということだけでなく、日本列島がどのようにして出来たかを教えてくれる貴重な岩石です。

隠岐片麻岩の現地看板(島後)

同じく約2億5000万年前に出来た岩石として、岐阜県飛騨地方で見られる飛騨片麻岩があります。隠岐や飛騨に分布する片麻岩は、その古さや地質的な位置関係から「日本列島の屋台骨」として重要視され、研究がなされて来ました。

隠岐の片麻岩の見た目はさまざまで、白黒の縞模様をもつ物や、白一色、薄緑、赤混じりのまだらなどがあります。そのなかでも典型的な岩石は島後の中心部にある銚子ダムの周辺の崖で見られるほか、島前でも島後でも砂利や埋め立てなどで使われている事が多く、隠岐では普通に見られる岩石の一つです。

最新の研究では…

1980年代以降、日本の屋台骨の形成過程を解明するため、隠岐片麻岩の中に含まれる鉱物の年代測定が盛んになりました。特にジルコンと呼ばれる鉱物は、高温や高圧に耐えて溶けにくいため、片麻岩のルーツを探る上で大事な情報を与えてくれます。以下に、これまでの研究史を紹介します。

1990年代はじめ、ジルコンに加えてモナザイトと呼ばれる鉱物も含めた画期的な年代学研究の成果が報告されました。分析の結果、30億年前~12億年前の大変古いジルコンが数多く見出され、また新しいものでは3億5000万年前や2億5000万年前のものも見つかりました。このことから、最後の2億5000万年前が隠岐片麻岩の出来上がった年代であり、その変成岩の元になった物質(原岩)は30億年前~3億5000万年前の様々な鉱物粒子を含んだ土砂が寄せ集まってできた堆積岩であることが考えられました。

そして、ユーラシア大陸(当時はより大きなパンゲア大陸)に日本列島がくっついていた時代に、当時の大陸にあった30億年前~3億5000万年前の土砂がその周辺の海へ流れ込み、この海底の堆積物が2億5000万年前に地下の深いところへ引きずり込まれて高い熱と圧力により隠岐片麻岩が作られたことが提案されました。

その後、2000年代に入ってもジルコンの年代学研究は続き、新たな事実も出てきました。ひとつは、隠岐片麻岩をつくる物質(原岩)には、19億年前~18億年前の花崗岩や変成岩といった大きな岩体が含まれている可能性が見出されたことです。もうひとつは、隠岐片麻岩の中には16億年前よりも新しいジルコンは2億5000万年前のものだけであり、片麻岩の元となった土砂の堆積が16億年前頃のものも多いと判明したことです。加えて、これらの古い岩石や土砂の年代値は、岐阜県飛騨地方の飛騨片麻岩から得られる年代値とは合致しないことも分かりました。このことから、隠岐片麻岩と飛騨片麻岩とは原岩が異なることが指摘されました。ただし、最後の変成作用が約2億5000万年前であることは間違いなかろうということも多くの研究者によって再確認されています。

これらを総合すると、隠岐片麻岩が2億5000万年前に出来た岩石であることは確実なようです。ただし、この片麻岩のもとの原岩には、①19億年前~18億年前の花崗岩や変成岩の岩体があること、②16億年前に土砂が集まって出来た堆積岩があること、さらには③3億5000万年前~2億5000万年前の間に海底に溜まった土砂による堆積岩があることなどが考えられます。すなわち、多種多様な古い岩石や鉱物がもとになって隠岐片麻岩が出来上がっているようです。日本の屋台骨を理解するための隠岐片麻岩の全容解明に向けた更なる研究が期待されます。

※ミグマタイト…変成岩の一種です。変成岩とは岩石が高温・高圧になることで縞状に粗粒の鉱物が並んで形成するものですが、あまりに高温になると一部が溶けてマグマをつくり、これが変成岩と交じり合った産状になります。このように、高温の変成岩とマグマが交じり合った岩石をミグマタイトと呼びます。隠岐片麻岩がいかに高温の変成作用を受けていたかが分かります。

隠岐片麻岩(ミグマタイト)
隠岐片麻岩から取り出されたジルコン(島根大学総合理工学部大平寛人准教授提供)

 

 

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