令和8年度 隠岐ジオパーク学術研究奨励事業 採択研究者のご紹介

隠岐をかけめぐる!研究者たち2026

研究者紹介チラシはこちら→隠岐をかけめぐる!研究者たち2026

隠岐ユネスコ世界ジオパーク学術研究奨励事業とは?

(一社)隠岐ジオパーク推進機構では、隠岐の自然遺産や文化遺産―地域に受け継がれてきた「宝物」―の価値をより深く理解し、その魅力を高める研究を応援しています。
本事業に採択された研究者たちは、それぞれの専門分野を活かしながら、調査や交流を重ね、隠岐の多様な魅力に新たな光を当てています。

研究成果の展示や報告会も開催予定!

本事業では、研究成果を広く伝えることにも取り組んでいます。今年度は4島巡回展示や、成果報告会を企画していますので、ぜひご観覧・ご参加ください!

📒研究成果4島巡回展示『隠岐にはまだ謎がある』

昨年度調査を行った研究者7名の成果をまとめた展示を開催中です。詳細は下記からご確認ください。
🔗隠岐にはまだ謎がある~学術研究奨励事業4島成果巡回展~

💻研究成果発表会

今年度採択された研究者6名による成果発表会を、来年3月ごろに開催予定です。続報をお待ちください!

研究成果4島巡回展示『隠岐にはまだ謎がある』@Entôジオラウンジ

 

今年度の採択研究者

研究者1 秋澤紀克(あきざわのりかつ)さん/広島大学

♢研究テーマ
26万年間の日本海マントル熱化学進化史:隠岐島前・島後産カンラン岩捕獲岩からのアプローチ

♢研究概要
我々が住む地殻の下にはマントルが存在します。マントルを構成する物質はかんらん岩と呼ばれ、普段手にすることのできない貴重な物質です。
隠岐島後ではマントルがカケラとしてマグマによって運ばれたかんらん岩捕獲岩が採取可能であり、その化学的な解析を行っています。
本研究ではこれまで報告されていない隠岐島前においてもかんらん岩捕獲岩の露頭発見を目指すと共に、隠岐島前・島後のかんらん岩捕獲岩を用いてその表層への輸送期間の違いである26万年間のマントルの熱化学的進化を理解することで、日本海進化史理解を目指します。

♢調査地
隠岐の島町・西ノ島町(今年度は西ノ島町のみ)

♢地域の方へメッセージ
隠岐島のかんらん岩を用いた研究は海外の研究者と共同で実施しています。
これからも隠岐島の魅力を世界に発信していきます!

地球の深部「マントル」のカケラであるかんらん石を特別な顕微鏡で観察した様子

研究者2 山澤泰(やまさわたい)さん/富山大学

♢研究テーマ
隠岐諸島島後におけるコウベモグラとアズマモグラの共存機構の解明

♢研究概要
僕はモグラの生態について研究をしています。
隠岐島後にはコウベモグラとアズマモグラという2種類のモグラが共存しています。コウベモグラはアズマモグラより体が大きく強いのですが、食べものや住む環境はどちらも非常に似ています。
そのため、弱いアズマモグラはコウベモグラに追いやられてしまい、2種が仲良く共存することは難しいと考えられています。
僕は隠岐諸島の地形や土壌環境、地質の特徴を現地で調べたり、遺伝子を使ってモグラが島に渡ってきた歴史を読み解いたりすることで、なぜ2種が共存できているのかを明らかにします。

♢調査地
隠岐の島町・西ノ島町・海士町・知夫村

♢地域の方へメッセージ
昨年は島後のあちこちを調査させて頂きました。とても穏やかな隠岐の雰囲気を好きになりました。
今年は島前3島でも調査を行います。調査中にお声がけさせて頂くことがあるかと思いますが、その際は何卒宜しくお願い致します。

山澤さんとモグラ

研究者3 羽生田岳昭(はにゅうだたけあき)さん/北里大学

♢研究テーマ
隠岐諸島における絶滅危惧種エビアマモの遺伝的多様性の解明

♢研究概要
「エビアマモ」と聞いてすぐに思い浮かぶ人はなかなかいないと思います。エビアマモはイネなどと同じ単子葉植物なのですが、陸上ではなく水中、しかも海の中に見られる植物です。
同じような植物に「アマモ」がありますが、アマモが砂地に根を張るのに対し、エビアマモは岩の上に根を張るという特徴があります。
また、アマモと同じくエビアマモも、海の森とも呼ばれる「藻場(もば)」を作っている海草(うみくさ)として重要な役割を担っていまするのですが、近年では生育地が減少しており、絶滅が心配されています。
今回の研究では、隠岐諸島に生育するエビアマモについて、遺伝的な多様性や特性を明らかにし、保全につなげたいと考えています。

♢調査地
隠岐の島町・海士町

♢地域の方へメッセージ
エビアマモを通じ、海の環境について興味を持っていただけると嬉しいです。
エビアマモを見かけられましたら是非教えてください!

エビアマモ

研究者4 遠藤颯(えんどうはやと)さん/東京都立大学

♢研究テーマ
隠岐諸島におけるミミズの「大陸遺存」と「島嶼適応」の統合解析―動かない生き物が日本海形成の地史を語る―

♢研究概要
隠岐諸島は、大陸とのつながりや火山活動、海面の変化などを経て現在の姿になった、とても特徴的な島々です。
本研究では、土の中に暮らすミミズを調べることで、こうした島の歴史と生きものの進化の関係を明らかにすることを目指しています。ミミズは遠くへ移動することが苦手なため、その分布やDNAには昔の環境の変化が記録されていると考えられます。
調査で得られた成果は、隠岐の自然の価値を知る新たな手がかりとなるだけでなく、環境保全や自然学習、ジオパークでの展示・教育などにも活用されることが期待されています。

♢調査地
隠岐の島町・西ノ島町・海士町・知夫村

♢地域の方へメッセージ
隠岐の本当の魅力は、目に見える景色だけではありません。足元の土に眠る『大地と生命の物語』をミミズの研究から明らかにし、その価値を未来へつなぎ、隠岐の自然が次世代の誇りとなるよう地域へ還元していきたいと考えています。

調査中の遠藤さん

研究者5 鹿島稜(かしまりょう)さん/広島大学

♢研究テーマ
隠岐島浅海域における魚類群衆構造の把握および隠岐周辺海域の魚類相の整理

♢研究概要
本研究では、手網を用いて隠岐諸島の浅海域 (水深1 m程度) で海草が生える場所や岩場、砂地などの生息環境、昼と夜といった活動時間、そして季節による小型魚類の種類や個体数の違いを調べます。
得られた成果は、隠岐の海の豊かさを科学的に示すとともに、自然環境の保全や持続的な利用、展示や環境学習などに活用できる形で発表を行います。
本研究を通して隠岐諸島の魅力を広く発信するとともに、地域住民の参加型調査へ発展させることを目指します。

♢調査地
隠岐の島町

♢地域の方へメッセージ
今回の調査では隠岐の浅い海で魚を調べ、「どんな魚が、いつ、どこにいるのか」を記録していき、この海の魅力や面白さを多くの方に伝えていきたいと思っています。
捕れた魚をお見せしながら、お話しできたら嬉しいので、もし海辺で私たちを見かけたらぜひ気軽に声をかけてください。

鹿島さんの調査地

研究者6 石井晃瑛(いしいこうえい)さん/慶應義塾大学

♢研究テーマ
島嶼性陸棲貝類の生態学:隠岐諸島固有の陸棲貝類はどのような菌類を食利用し,その食性は隠岐の島嶼環境や地史的変遷とどのように関係しているのか?

♢研究概要
隠岐諸島には、この地域にしか見られない貴重なかたつむり (陸棲貝類) が数多く生息しています。
これまでの研究から、かたつむりときのこ (菌類) の間には「食べる・食べられる」という関係があることは分かっていますが、どのような菌類を利用しているのかなど、その詳しい実態はまだ十分に明らかになっていません。
本研究では、野外調査やDNAを用いた分析を通して、陸産貝類と菌類との関わりを明らかにすることを目指します。
この研究により、隠岐の豊かな自然環境や生態系がどのように支えられているのかを理解し、地域の生物多様性の保全や自然環境の価値を伝えることにつながることを期待しています。

♢調査地
隠岐の島町・西ノ島

♢地域の方へメッセージ
研究のため、夜間に森林へ入り、かたつむりの行動や生息環境の調査を行うことがあります。
地域の皆さまにはご心配をおかけすることもあるかもしれませんが、自然環境に十分配慮しながら調査を進めてまいりますので、温かく見守っていただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

調査中の石井さん

6名の研究者たちは、隠岐の自然や文化にじっくり向き合いながら、島内各地で調査を進めていきます。もし見かけた際には、どうぞ温かく見守っていただければ幸いです。
来年3月には、研究の成果をわかりやすくご紹介する報告会も開催予定です。研究を通して見えてきた、隠岐の新たな魅力をぜひ一緒に発見しましょう!