神楽

隠岐神楽は、石見神楽などとは異なる素朴かつ古風な神楽で、「社家(しゃけ)」と呼ばれる神楽専業の家系によって受け継がれてきました。かつて島後では13社家、島前では5社家が神楽を行っていましたが、現在では地域住民によって行われています。隠岐神楽は神社への奉納に限らず、豊作・大漁祈願、雨乞い、疫病退散、航海安全などを祈祷するために行われていました。そのため、巫女が重要な役割を果たしています。
隠岐神楽を大きく分けると隠岐島前神楽と島後神楽になり、両方の神楽に共通する演目でも内容が異なるなど、その芸風に違いがあります。隠岐島前神楽では、速めで賑やかな囃子に、舞い手が約4畳の舞台中央や船上で舞います。一方、島後神楽は、周吉(すき)神楽と隠地(おち)神楽に分けられ、悠長な囃子に、舞い手が舞台中央にある約2畳の狭い板張りの上で舞います。