シャーラ船

精霊流しは盆に迎えた祖先の霊を送る行事で、海岸や川の近くで船を作って供物を乗せ流すのが一般的です。隠岐ではそれが訛って「シャーラ船」とよばれ、西ノ島では地区ごとに独特な方法で伝わっています。東部地区では各戸がそれぞれ供物を直に海に流し、シャーラ船を作るのは初盆の家だけなのに対して、美田、浦郷の地区は集落で大型のシャーラ船を作って8月16日の早朝に流します。その規模は3~10mで、美田の船越で作られる船が最も大きく、供え物とともに子どもが乗り込み祖先の霊を送る伝統があります。帆をかたどって張られた縄には経文を書いた無数の色紙幡が結び付けられていて、海に浮かべるとちぎり絵を見るような美しさです。