黒曜石

黒曜石は、旧石器時代から弥生時代にかけて、狩猟具や武器として使用されてきました。国内の黒曜石の産地は100箇所ほど知られていますが、石器として利用された良質なものの産地は隠岐を含めて6箇所ほどに限定されます(北海道白滝、長野県和田峠、東京都神津島、佐賀県腰岳、大分県姫島、島根県隠岐)。黒曜石は産地ごとに含まれる微量成分などが異なるため、化学的な分析によって産地を特定することが可能で、それによると隠岐の黒曜石は中国地方を中心に、ときには瀬戸内海や新潟県までの広範囲に流通していたことが明らかになっています。
このことから、良質な黒曜石は古代の生活に欠かせない道具であったことが想像されます。また、黒曜石の見つかる遺跡の分布を辿っていくと、当時の人と文化の交流ルートも見えてきます。